癌の早期発見は必要なのでしょうか?
私の父は、満93歳。
4年前に、滋賀県の近江八幡の病院で、前立腺肥大で治療を受けていた。尿は良く出るのであるが、夜中に2回、おトイレに行かなければならないのが、悩みの種であった。原因が、膀胱炎であるのか、尿道炎であるのか、または、心臓が悪い又は腎臓が悪いため尿量が増えるためなのか遠くにいる長男である私には、よく判りませんでした。父の言いますのには、血液の検査の結果では、悪いところはどこもないということであった。

考えれることは、前立腺の癌か、膀胱がんと思われたのでしょうか？　一度検査を受けますかということになりました。八日市まで行かないと、近くでは検査のできる病院がないということで、八日市に一日かけて検査に行ったように記憶しています。

　　　　　　　　　　　　結果は前立腺癌でした。
　　　　　　　　　　　　
　　さて、その後、どのような治療がされたのか無責任にも、貴方任せで知らないのですが、1ヶ月に1回の抗がん剤の注射を受けていたのは確かです。生まれて以来ずっと、私と一緒に住んでいました両親ですが、4年前に滋賀県の私の姉のお家で世話になることになりました。そして、昨年の2月から、又、私たちと生活がはじまりましたが、父はあまり、自分の病気のことは、言わないで、一ヶ月に一度、病院に行き、注射をうけ、そして、何種類かの内服薬を貰っていました。
その後の経過が、私が上に書きました表題に至ったことに影響大ですので、大切なのですが、複雑なので先に飛びますと、12月はじめから、ある病院に入院し、愈々駄目だということで、退院を迫られ、仕方なしに、現在の病院に入院させていただきました。
　　ずっと、泌尿器科にかかっていたのですが、現在の病院には、泌尿器科がありません。前の病院では、9種類の内服薬を飲んでいましたが、退院するまで、1ヶ月間殆ど食事が取れませんでした。退院に向かって、内服薬の量を次第に、減らしていき、退院時には、3種類(抗がん剤・前立腺肥大の薬・睡眠薬)に減りました。その後、2日
後から、食欲がどんどん出るようになり、ベッドで起きていると直ぐ疲れた父が、起きている時間が長くなりました。

　　単純ですから、やはり、内服薬の所為で、食欲・元気が無かったのだと思っている私ですから、今後も、抗がん剤は使いたくないのですが、父は、この注射を受けていたから、これまで生きておれたと考えています。
　　　　　　　　　　　　
　さて、今月の注射は、2月22日に迫っています。入院しているところの先生は、22日、外出して、注射を受けてきてもいいし、直ぐ近くの泌尿器科で受診・治療してもいいといわれています。
　前の病院の先生は、もうなにをしても駄目で、悪くなることはあって良くもなることはありませんと厳しいことを言われましたので、驚くほど病状が改善したのであれば、私としては、駄目なら、今でしたら、食事がおいしいと言っているのですから、どうせ駄目なら、抗がん剤は止めたく思っています。
　　一方、父は先生の回診のたびに、「もう年ですから、何時死んでも悔いはありません」と涙をためながら、言います。一生懸命自分に言い聞かせているのだと思います。
　　やはり、死ぬのは嫌なのです。となれば、少々、毎日、吐き気がして、立てなくなっても、父が望むように抗がん剤の注射を打ったほうが良いかなとも考えてしまいます。

　　癌は、前立腺癌で、癌は、腰の骨に転移し(？)　見せてもらったレントゲンフイルムでは、全部真っ黒に写っています。肋骨の一部も黒く写っていますが、痛みがあるわけでもなく、夜中の数多い排尿が大変なので、膀胱に管を入れたままにしていますが、前立腺癌の自覚症状はありません。

　　注射の日を明日にひかえて、まだ、迷っていますが、私は、自分のときは、早期発見の検査はしないでおこうと思っています。
　　父は、治療をしていたから、今まで生きておれたと思っていますが、私はしなくても生きておれたのではないかと考えています。
　なんらかの自覚症状もないのに、検査で癌がみつかり、父はこの4年間、今に死ぬのではないかと、随分悩んだと思います。症状が無いのであれば、何もしないのが良いように思っています。
　　　男子は60歳すぎると、50パーセント以上の人が前立腺に異常があるようなパンフレットが泌尿器科の待合室に貼ってあったように思いますが、あれを見て、どれだけの人が癌の検査をうけられるのでしょうか？　何人の人が人生の後半をがっくりして過ごされるのでしょうか？　
　私なら、検査をしないで、自覚が無い間は、機嫌よく過ごします。
　　　　 H14.02.21