| 母は一昨年９月に死亡しました。小柄で亡くなったときは、体重が28キロを下回っていたと思います。 そんな小さな母親ですが、４人も子供ができました。でも、当時は、ほとんどの家は、4,5人はいたように思います。 私が記憶にあるときから、体が弱かったのに、戦時中は、疎開をしました。ギリギリで間に合い、大阪市内の元の、 家は、空襲で焼けてしまいました。父の実家でお世話になったのですが、父は出征し、育ち盛りの四人を抱えて、 随分、苦労をしたと思います。あの小さな体のどこからエネルギーが出ていてのかと今でも不思議に思われます。 ７０歳前から、心臓・肝臓が悪くなり、愈々二階に上ることは、勿論、歩くことすらできなくなりました。 原因がよく判らず、いろいろ検査を繰り返していましたが、ペースメーカーを入れれば、助かると言うことになりまし た。 今から思えば、当時の最先端医療でした。 その時は、私の母親が、最高齢ですることと、まだ、病院では、170例しかしていないから、成功するかどうか、判ら ないと言われました。 しないでおれば、トイレもようようの状態でしたから、お願いすることになりました。 時間はかかり、体力が戻るのに、日数はかかりましたが、上手くいき、どんど快復しました。相当悪かった肝臓も、 心臓の所為で悪かったらしく、こちらは、治療をしなくても良くなっていきました。 20年前の高度医療も、現在では、もう高度といわないで、極気軽にされているらしく、先日。親戚の者が、手術をしま したが、２０分ぐらいで済んだそうです。この技術のお蔭で、命を拾った人は、一杯だと思います。 死んでも知りませんと宣言されていた手術が、20分ほどで済む技術になるまでに、上手くいかなかった人の経験が 一杯あったのだと思います。 私は、上手くいかなかった例は、できるだけ減らすようにしなければとは思いますが、いろいろ難しいことがあるので しょうね。 私の母親は、こうした高度医療の恩恵で、93歳まで生きました。しかし、80歳からは、えらい高度医療だなと思える医 療によって、長生きをさせて頂いたなという気持ちが一杯になりました。 80歳から病院へ、入退院を繰り返しました。みなさんご承知だと思いますが、病院が、老人のサロン化するのを防ぐ ために(？)、3ヶ月もしますと、「あなたは、もう治りませんから、退院してください」と言われます。そのようなことを言わ ないで治してくださいと言いますと、病院には、いろいろの形態の病院がありまして、この病院では、高度医療を目 指していて、「お宅は、もう高度医療ですることが無くなりました」。そのような人は、普通の病院へ行っていただかな いと、高度医療すれば助かる人も 助からなくなります。 言葉を変えますと、「助からない人は、普通の病院で死ぬのを待ってください」という言い方でした。 腹が立ちましたが、自宅で頑張ってして、近くの先生に来ていただくことになりました。 兎に角、お任せしていましたから、そりゃそうだと思い、退院することにしました。 13年前のことでした。 指示されたとおり、土曜日でした。午後から母を迎えに行きました。 母は、ベッドに座っていました。寝てではなく、座って私を待っていたのだと思いました。暫くすると、母の様子がおか しいのに気がつきました。私をだれか知らないのです。 抱いて車椅子に乗せて、廊下を歩いていると、賄いのおばさんに会いました。「おばあちゃん 退院ですか？ 良か ったね」 「あれ、誰も見送り無いのですか？」「私が玄関まで送ってあげよう」 母は、過剰ぐらいに、このような時は、 ニコニコするのですが、にこりともせずに、玄関に到着。 土曜で、午前中で病院は終了していました。誰一人として会うことも、私の車で帰宅しました。 退院したものの、元気は快復せず、水も飲めない状態でした。食事も勿論だめで、強度の脱水症状でした。 500ｃｃほど、リンゲルを入れてもらいましたら、いっぺんに元気がでて、喋れるようになり、少しですが、食事をしまし た。 自分の息子の顔もわからなければ、皆さんは「ボケた」と思われるでしょうが、脱水がひどいだけで、この様な状態に なります。 平成15年10月1日 あまりのひどさに、私は、どのような治療をされていたのか? お聞きしたくて、担当の先生に時間をいただける様に、 電話にてお願いしました。 指定されたとうり、病院に行きましたら、病院長と看護婦長と担当の先生に迎えてもらいました。 母の状態を、説明しわたしとしては、納得いかない点を述べました。 ① 退院許可を出されたのですが、午前中、患者の診察をされましたか? 返事-----当日は、診察しませんでした。 ② 私が判断できないほど、脱水がひどいのに、どうして退院許可になったのですか? 返事-----担当の先生の回答はありませんでした。病院長が言われるのには、厚生省の方針で、3ヶ月経ちま すと、入院を続けることができないとの説明でした。 しかし、なにも、食事はできないし、息子かどうか判断でき ないほど、悪い患者でも退院させないと駄目なことは無いはずです。ところが、それが厳しいように何度も言わ れました。 ③ 退院する時ぐらいは、先生に声をかけるとか、事務の人に声を掛けると思ったのですが、 誰も居られなかったのですが・・・。 これも、納得のいく返事はありませんでした。 ④ どのような治療をされ、何を基準に治ったとされたのですか? それは、言えないといわれるので、それでは、カルテを見せてくださいと言いましたら、頑として、駄目だと言われまし た。 12,3年前ですから、患者や、家族にカルテをみせる病院は少なかったようです。しかし、盛んに、病院によった ら、積極的に見せ、薬もどのような種類のものを使っているか、その薬の副作用などを書いて渡す病院が増えている と報道がありましたから、 隠す必要などありません。 私が見て、それを元に裁判をしたりするようなことはありませ ん。 と、何度も言いましたら、やっと、持ってこられましたが、見せてもらえません。昨日の治療はなどと質問すると、 院長が見られて、私にこうこうですと説明するだけです。全部見せてくださいと駄目だとか言いながら、やっと、見せて 頂きました。見たものの私には判らないので、ゆっくり見たいコピーをして下さいと言いましたが、これは駄目でした。 私は不思議に思いました。自分が、正しいと思ってした治療なら、結果がよくなかってもしかたがないと思います。 担当の先生は、30歳ぐらいのまだ、駆け出しの先生でした。 今でしたら、カルテを見せて下さいと言われて、断ったら余計変に思われると思います。 わたしには、先生がされた治療が正しかったのかどうか判りませんが、膨大な処置が書かれていました。腎臓の検査 の結果を質問しました。何度も何度も検査をしておられるのに、その結果を役に立てておられないなと思いました。 最近は、当時よりも、検査を頻繁にするのかどうか知りませんが、こうした検査が、高度な医療だっように思います。 平成15年10月03日 皆さんは、血液検査をして貰って、数値がこれこれですからと説明をしてもらいますと、なるほどと思われますが、上に 書いたことは、「脱水状態」の話です。先生は数値が皆正常値にあるから、退院を決められたと思いますが、年配の先 生なら、肌の艶・顔の色艶を見ただけで判ることです。高度医療以前のお話です。 こうした私の不満に対して、病院長は 、今度から遠慮しないで、休みの日でも言って下さいと言われました。 しかし、その後、行くことはありませんでした。 と言いますのは、その2日前に、家内が見舞った時に、母はベッドで全裸で座っていました。 その前に、父がやはり 全裸でぼっとしている母を見舞っています。 これは、どういうことだったのですかとお聞きしましたら、「おしっこ垂れをしたので、お仕置きをしました」とのことでし た。 そのときは、二人部屋でしたが、次々と入ってくる人に、母は一々、裸でいる理由を説明していたのだと思い ました。 高度医療は必要ありません。 普通の人間らしい人が、医療に携わるべきです。 平成15年10月9日 |
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